記事の対象者は以下の方を想定しております。
本記事は理解の促進のため、技術的な背景を学術的に細かく説明することを目的とはせず、実ビジネスでどう使えるかの著者の考察を提供するものです。 細かい内容の理解不足から、読者の損害等を補償するようなものではございません。 結論は以下の通りです。
NFTとはNon Fungible Tokenであり日本語では「非代替性トークン」という言葉が適当である。 NFTはその点では技術であるのだが、マスコミ報道では商圏として扱われている言葉として捉えたほうが理解しやすい これは非代替性として取引記録が担保されていることにより、現在のオーナーシップを補償していることとなる点が重要である。 また誰から誰に渡ったかが記録されているため、オーナーシップの出元を担保できる点も大きい。 土地取引等では典型だが、過去の所有者情報は現在のオーナーにとってはとても重要な情報である。
ビットコインはブロックチェーンを初めて実装した信用されうる(改竄されない)取引記録の祖である。 ビットコインについては、詳しい記事が多いので本記事で詳細を言及するのは控えたい。
ブロックチェーンは情報内容を繋いでいく(前のブロックから受け取る64文字を加工し64文字を作成し、次に渡す)ため、大きなデータの改竄を防ぐ目的で使うべきではない。 強みは、軽い情報内容であるという前提が、技術背景にはあるはずだがが、言及されている例はあまり見受けられない。
信用(情報が正しいか)は誰により供与されるか。例を挙げると免許書やパスポートは国が保証する発行物であり、通貨は日本銀行が複製防止を施し偽物紙幣でないことを担保している。 口座の残高は各銀行がシステムを集権的に管理し、残高数字を表示させている。情報は誰が管理するかで信用が供与されて、発行主体が重要とされる。 発行主体が重要なのは誰が情報が正しいことを保証してくれるのかという点である。 ブロックチェーンは改竄を事実上不可能に仕組化しているため、誰が保証せずとも信用される情報であるということを技術的に担保した 下記に経済産業省のレポートを掲載するが、著者が特に注目すべきと考える分野は以下である。
著者は改竄できない範囲がデジタルデータであると当初思ったが、これは大きな間違いであった。 NFTのアート市場を例に例えると、画像データは当たり前だが、だれでもコピーできるし、ブロックチェーンでコピーを防止できる訳ではない。 誰から誰にオーナーシップが移ったのかを、国でも一企業でもなく技術で担保できるので所有権の主張を裏付けられる点が利点なのだ。 集権的な仕組み(Saas等により提供)でも、健全な管理はバックアップを複数層で管理することで提供可能であるが、信用が十分でない懸念はその点ではない。 一企業が管理者であることの懸念点は、その管理者がサービスの提供を停止したり、管理者が(悪意で)内容を改竄する可能性はあることである。
大枠を記載するとチェーンでブロックを繋ぎ、前のブロックの計算情報を次のブロックに渡している。 攻撃側は前のブロックを含めた全てのブロックを同時に改竄しないといけないため、事実上はマシンリソースが足りず改竄できない。 また1つのブロックは生成する際にあえて計算時間がかかるような工夫がなされている。これにより同時に全ブロックの改竄を試みることが更に困難になっている。
技術的なポイントはチェーン化を語る方が多くいるのは当然である。著者もその点は大いに同意したい。 一方、ハッシュ値に情報を含めて、次のブロックに渡している点が協調されることは少ないが、応用範囲を考えるうえでは重要だ。 こちらに載るような情報量でなければ、改竄を担保しきれない。ハッシュ化(SHA256)は64文字の文字・記号化しており、もう少し長い表現もありうると考えられるしマシンパワー(量子コンピューター等)の進展で重い情報への対応力があがることが予想される。 ハッシュ関数の特徴としては、元のデータは逆算で特定できない。一方、入力データが同じならば、どのPCの演算でも同じハッシュ値が得られる点があげられる。 従って改竄は、正しいハッシュ値との違いにより検出される。改竄があった場合でも、改竄を含めて記録されるため、誰がどの箇所で不正を働いたかを特定できる。
ブロックチェーンはパブリック型かプライベート型かの運用により特徴に違う。また複数人(複数企業)によるコンソーシアム型もある。 プライベート型は端的には情報システムとして運用していることと同義。
台帳技術であるため、RDBの代わりに使える部分もある。メリットは、集中システムではないためアクセス過多によるサーバーダウンや重複処理の排除等のブロックチェーンの一部のメリットを享受できる。 一方、社内からの攻撃(改竄)に備える必要がなければ、従来システムでいいのかもしれない。 著者の見識の限りでは、「信用供与」がブロックチェーンの強みであるため、無理に使うメリットはないのではと考える。